実家の片付けを手伝っていたとき、押し入れの奥から段ボール箱が出てきた。

開けてみると、小学校の卒業アルバムだった。もう二十年以上前のものだ。

懐かしくて、ページをめくった。あの頃の友達、先生、行事の写真——記憶が少しずつ蘇ってくる感じがして、思ったより時間をかけて見てしまった。

クラス全員の集合写真のページで、手が止まった。

体育館で撮った写真だった。三列に並んで、先生も一緒に写っている。

前列の、端の方。

自分が写っていた。その隣に、友達が二人。

そしてその友達の肩に——手が乗っていた。

大人の手。男性のような、大きな手。でも、その手につながる腕も、体も、どこにも写っていない。友達の肩から手だけが生えているように見えた。

全員の顔を確認した。先生は一番端に立っている。先生の手がその位置に届くはずがない。そもそも先生は後列だ。

何度見ても、その手は誰のものでもなかった。

母に見せた。母は写真を見て、少し黙って、それから「気のせいじゃない?」と言った。でもその後、アルバムをすぐに段ボールに戻した。

あの小学校は、私が卒業した翌年に廃校になった。建物は今も残っているらしいが、誰も使っていないと聞く。

あの写真は今、実家のどこかにある。もう一度見る気にはなれない。