祖父の葬儀が終わって三日後のことだった。
深夜二時、スマホが鳴った。画面を見た。
「おじいちゃん」
登録した名前がそのまま表示されていた。祖父のガラケーの番号。
出た。
「……もしもし?」
無音だった。ザザ、という雑音だけが聞こえた。
「おじいちゃん?」
また無音。でも、繋がっている。そんな感覚があった。
一分くらい経った頃、向こうから音がした。
咳払いの音だった。
祖父はいつも、話し始める前に必ず咳払いをしていた。小さい頃からずっとそうだった。
「……おじいちゃん」
電話は切れた。
翌日、祖父の家に行き、ガラケーを確認した。電源は切れていた。充電もされていなかった。
発信履歴にも、受信履歴にも、私への着信はなかった。
でも私のスマホには、通話履歴が残っている。深夜二時三分、二分間の通話。