深夜のコンビニバイトは静かだ。
午前二時を過ぎると客足がぴたりと止まる。暇すぎて眠くなるくらい。
その夜も、二時を過ぎてから客が来なかった。三時が近づいていた。
ドアが開いた。
入ってきたのは老人だった。七十代くらいの男性。薄い水色のシャツを着て、スリッパを履いていた。夜中の三時にスリッパ。少し気になったが、それだけだ。
老人はゆっくり店内を歩いた。特に何も手に取らずに、レジの前に来た。
「おにぎり、ありますか」
「はい、あちらに」と指差した。
老人はもう一度店内を歩いて、おにぎりを一つ持ってきた。梅。
「二百円、頂きます」とレジを打った。
老人はポケットから小銭を出して、ゆっくり数えて渡した。「ありがとう」と言って出て行った。
朝、店長が来て防犯カメラを確認することがあった。別の件で確認が必要だったらしい。
「昨日の夜中、二時から三時の映像、見てよいですか」
一緒に見た。
二時から三時の映像、客は一人も来ていなかった。ドアが開いた形跡もなかった。
レジの記録には、二時五十八分に二百円の売上が残っていた。